寵愛の姫 Ⅰ【完】
プロローグ
地上に落とされた
哀れな鳥は
空を恋しく思う
上を見上げては
羨むほどに
自分の羽が
醜くなっていくだけ
汚れた羽では
もう
大空を舞うことも許されない
もがけば
もがくほどに
暗く深い闇へと落とされる
ーーそんな気がした
だからこそ
そのまま羽を閉じよう
もう何も
求めぬように
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