寵愛の姫 Ⅰ【完】
何なの?
「っっ、ちょ、痛いっ!」
「良いから、良いから。」
私の抗議の声を無視して、男はぐいぐいと上機嫌にそのまま歩き出す。
「っっ、あっ、」
そうなれば、必然と腕を掴まれている私も一緒に歩かされる訳で…。
よろけながらも、男の後に着いて行くしかなかった。
「っっ、」
…………ヤバい。
頭の中で警鐘が鳴り響く。
冷や汗が、自分の背中を伝う。
「っ、離してよ!」
咄嗟に男の手を振りほどこうにも、がっちり掴まれてて解けそうにはない。