寵愛の姫 Ⅰ【完】





「莉茉、来い。」




天野さんに手を引かれ、初めて海へと恐る恐る足を入れる。




「……どうだ?」


「冷たいです。」



顔を覗き込む天野さんに私は呟いた。




「まぁ、まだ寒いからな。」


「でも、気持ち良いです。」


「…だな。」




満足そうに笑う天野さんに私の手を引いて、波打ち際をゆっくりと歩き出す。
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