寵愛の姫 Ⅰ【完】





「…天野さん。」


「ん?」




天野さんが私に振り返る。




「ありがとうございます。」


「うん?」



「海に連れて来てくれて…。」




照れくさそうな表情になった天野さんは前に向き直った。




「莉茉。」


「はい?」


「……また来ような。」




繋いだ手に力が込められる。




「……はい。」



………あなたが、それを望んでくれるなら
……。
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