寵愛の姫 Ⅰ【完】




歩かされる足。



どんどんと遠ざかる、いつもの場所。



「っっ、」



…………どう、しよう。



ばくばくと自分の心臓の音がうるさい。



頭が真っ白で、この場を逃げ出せる良い案が思い浮かぶはずもなく…。



「っっ、あっ、」


焦りだけが、私の中で募っていく。



どう、すれば良い?


怖、い。


「っっ、」


沸き上がる、恐怖心。


分かっていたはずでしょう?


この場所が、安全ではないって事を。
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