寵愛の姫 Ⅰ【完】






「…だって、ケーキ久しぶりに食べたんだもん…。」




ぽつりと呟く。



ケーキに限らず、食事すら機嫌が悪かったら与えられない時がある。



甘い物は、私にとってご馳走に近い。




―――誕生日さえも、ある頃から祝ってもらった事がないのだから…。



「……叶くんは意地悪です。」



ふてくされた私に、叶くんは声を上げて笑った。
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