寵愛の姫 Ⅰ【完】


目尻に涙か滲む。


これは、罰、なのかな?



危険な繁華街で、無防備だった自分に対しての。



「……や、離、して。」


本当に、嫌だ。


自分が悪いとしても、こんなのは。



「っっ、誰、か、」


ーー助けて。


愚かにも、私は心の中ですがった。


知っていたのに。


人は、冷たい生き物だって言う事を。



「うん?」


男の顔が少しだけ、私の方へと振り返った。
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