寵愛の姫 Ⅰ【完】


宿る、期待。



「お願い、この手を離して下さい。」


懇願する。


帰してくれと。



「ん、」


「…………。」



……これ、は、帰れる?



不安と恐怖に怯えながら見上げる私に、男がにっこりと微笑んだ。



「大丈夫だよ?」


「え……?」  


微笑んだ男に対して、呆ける。
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