寵愛の姫 Ⅰ【完】

絶望




「…叶くん。」



写真を持つ自分の手がぶるぶると震える。




それは、



怒りゆえか。


悲しみゆえか。



…………どちらだったのか、自分自身でも分からなかった。



「…………この写真は誰から“渡された”んですか?」



この写真は叶くんが撮ったんじゃない。




―――そんな確信があった。
< 132 / 381 >

この作品をシェア

pagetop