寵愛の姫 Ⅰ【完】




「私が天野さんに渡したの。」



にっこり笑みを浮かべて言う茉莉に、私の頭が怒りで真っ赤に染まる。



「―――どういうつもり?」



低く出た声。




「何が?」



意味が分からないと言わんばかりに茉莉は首を傾げた。




「っ、惚けないで!」



きつく茉莉を睨み付ける。



「これ、あなたでしょう!?」



写真を突き出せば、一瞬にたりと口角を小さく上げた茉莉が叶くんの腕に縋り付いた。
< 134 / 381 >

この作品をシェア

pagetop