寵愛の姫 Ⅰ【完】
大丈夫?
一体、何を言っているのだ、この人は。
「ちゃんと、優しくするから。」
「っっ、」
ねっとりとした男の声に、悪寒が背中を走る。
欲望にぎらついた目が、怖かった。
自分がこの世界の中で、誰よりもとてもちっぽけな存在に思えるから。
「あぁ、そんな固くならないで?」
「…………。」
「何も怖くないよ?」
弱々しく私が出した否定の声は、欲望にぎらついた男にあっさりと 躱される。