寵愛の姫 Ⅰ【完】



「……。」



目を伏せた後、私は叶くんに視線を向ける。



「…さようなら“天野さん”。」



好きでした。


――――叶くん。



「…………。」



もう、

後ろを振り返る事なく、覚束ない足で私は歩き出した。
< 142 / 381 >

この作品をシェア

pagetop