寵愛の姫 Ⅰ【完】





「っ、!」




ばっと莉茉が消えた方向に目を向ける。




……だけど……



…………華奢なあつの姿はもうなかった。



「莉茉っ!」



莉茉の後を追い掛けようとした俺の腕を、茉莉が掴む手に力を入れ阻む。



「……どこに行くんですか?」


「っ、離せ!」




行かなくちゃいけねぇんだ。



……あいつの所に。
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