寵愛の姫 Ⅰ【完】


淡い期待を打ち砕いて。



まるで、そう。



私の意識など、気にしないみたいに。



「ふんふん、」


「…………。」


前に向き直り、上機嫌で下手な鼻唄を奏でる男に私の心が冷えていく。


何度、こうやって繰り返せば良い?



期待と、絶望を。



「はっ、」
 

何だか、笑える。


滑稽すぎる、自分自身に。



いつまで、来ない未来を夢見て、幸福な明日を待ち続けるのか。
< 15 / 381 >

この作品をシェア

pagetop