寵愛の姫 Ⅰ【完】






「……っ、痛いなぁ、もう。」



ぶつぶつと文句を言いながら立ち上がれば、天野さんは拳を握り締めて俯いている。



「―――出ていけ」



弱々しい天野さんの声に鼻を鳴らす。



「そんなに後悔するぐらいなら、莉茉を信じれば良かったじゃないですか。」


「……。」


「所詮、天野さんにとって莉茉は、それだけの存在だったって事ですよ。」


「っ、」



私の指摘に天野さんの身体が強張った。
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