寵愛の姫 Ⅰ【完】
きっと居場所のない私は、誰かに道具のように使われるしかない運命なんだ。
“あの人達”のように。
「…………ははっ、私の人生くだらないなぁ。」
なんとつまらない人生なのか。
自分自身の事を嘲るかのように、口元を歪ませて小さく呟く。
そんな私を、月だけが見ていた。
「ねぇ、君の名前は何て言うの?」
「…………。」
腕を強く引かれながら、黙って俯く。
本当に、悔しい。
こうやって、私の意識を無視される事が。
「っっ、」
自分の唇を噛み締めれは、鉄の味がした。
ねぇ、私の意思は、必要ないの?