寵愛の姫 Ⅰ【完】



「大雅。」


「はい。」



助手席に座る大雅が俺へと振り返る。


「…あいつの様子は?」


俺の問いに、助手席に座っていた大雅が口を開いた。



「ふらふら歩いていると思ったら、そのまま虚ろな瞳で座り込んでいるそうです。」


「……そうか。」



窓の外に視線を向ける。



――もう、半年にもなるか。




…………お前を初めてこの繁華街で見たのは…。
< 164 / 381 >

この作品をシェア

pagetop