寵愛の姫 Ⅰ【完】



「…誰?」



私の口から出たのは、自分でも弱々しい声だったと思う。



高崎(たかさき)暁。」



そんな私に、高崎暁と名乗った人が悲しそうな顔をした。



「……?」


「……お前の名前は?」



不思議に思って見上げていれば、それは一瞬で直ぐに元の優しい顔へと戻される。



「……莉茉。」


「莉茉か。」



高崎さんは微笑んで、私の隣に座った。
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