寵愛の姫 Ⅰ【完】
「……あの人達がそんな事する訳ないよ。」
あの人達にとって、自分達の子供は茉莉の1人だけだもの。
…………例え、私がいなくなっても、心配される事なんてない。
吐き捨てた私を高崎さんがじっと見つめる。
「嫌いなのか?」
「何が?」
「両親。」
「…別に。」
もう、あの人達に期待していないだけ。
とっくの昔に諦めた。
ーーーー期待するだけ無駄だって…。
今は両親に対して、何の感情さえも抱いていない。