寵愛の姫 Ⅰ【完】



「まだ寒い季節なのに、コートも羽織らずに俯いて歩いてた莉茉の姿が印象に残ったんだ。」


「……。」



…………そう、あの時はお母さんの機嫌が悪くて、頬を打たれた後にそのまま家を追い出されたんだ。




当てもなくさ迷って辿り着いたのが、繁華街のこの場合だった。



「ずっとこの場所にいるお前を見てた。」


「ずっと?」



半年間の間、


…………私は高崎さんにずっと見守られていたの?
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