寵愛の姫 Ⅰ【完】




「っ、ぅ…。」


「……莉茉……。」



泣いて縋り付く私を、高崎さんはずっと抱き締め続けてくれていた。




「大丈夫だ。」

「俺が側にいる。」

「お前は独りじゃない。」




言い聞かせるように何度も高崎さんは繰り返す。




欲しかった言葉を囁きながら、背中を撫でるれる。



「……。」



ーーー瞼が酷く重い。




嗚咽な治まる頃には身体を動かすのも億劫で、私は何時しか逞しい高崎さんの腕にそのまま身を任せていた。
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