寵愛の姫 Ⅰ【完】




「莉茉、良い夢を。」




眠る莉茉の額に口付けて、そのまま抱き上げる。




恐らく、まともに飯も与えて貰っていなかったんだろう。




「…………。」



あまりにも軽い莉茉の身体に、俺の眉が寄る。




資料で内情は知ってはいたが、ここまでとは…。



途端、莉茉の両親に対してふつふつと沸き上がる殺意。




「……やっぱり殺しとくか。」



くつくつと俺の口から狂気を孕んだ笑みが零れ落ちた。
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