寵愛の姫 Ⅰ【完】



「銀次、このままマンションに向かえ。」



車に乗り込んだ俺は、泣き疲れて寝入る莉茉を見つめながら、銀次へと指示を出した。



「はい。」



頷いた銀次が淀みなく車を走らせ始める。



「ーーー大雅。」



莉茉から視線を大雅へと移す。



「うん?」



呼べば、助手席に座る大雅が後ろの俺へと振り返った。
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