寵愛の姫 Ⅰ【完】
「それに親父に莉茉の事は直ぐにバレる。」
溜め息が零れ落ちる。
この瞬間でさえ、ありとあらゆる情報が親父の元には届いているだろうからな。
「まぁ、大丈夫だろうが莉茉の両親、後は特に“あの”妹には注意しろ。」
ーーーー莉茉の妹は厄介だ。
「…分かりました。」
「…………。」
パソコンを弄り出した大雅を横目に、眠る莉茉の首筋に顔を埋める。
…………甘い香りを堪能しながら、マンションに着くまで目を閉じた。