寵愛の姫 Ⅰ【完】



「若、着きました。」


「…………。」



銀次の声に、暁の顔がゆっくりと上げられる。



「お疲れ様でした。」



暁が座る後部座席のドアを開けたまま、銀次が頭を下げた。



「……あぁ。」



軽く銀次に対して頷いた暁が莉茉ちゃんを抱えて、歩き出す。



……俺は静かにその背を追った。
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