寵愛の姫 Ⅰ【完】
「……んんっ。」
苦しさにか、俺の服を握る莉茉に名残惜しくなりながらも、顔を離す。
「大丈夫か?」
顔を覗き込めば至近距離で絡まる莉茉の熱を孕んだ瞳。
「……っ、無理。」
小さく首を振った莉茉が俺の胸に顔を埋めてくる。
「…………、」
―――この顔を知るのは、俺だけだ。
ぐったりと凭れ掛かる莉茉の華奢な身体を抱き締めながら、優越の笑みを浮かべ、愛おしい女の髪を撫でた。
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