寵愛の姫 Ⅰ【完】



「ーーー莉茉。」




その優しい声と手の動きに、また微睡みかける。



「寝るなよ?」


「…う、ん…。」



そんな私の思考はお見通しと言わんばかりの暁の声にこくりと頷いて、身を起こした。



「莉茉。」



瞳を擦っている私の顔を暁が覗き込む。



「うん?」


「お腹空かねぇか?」



……お腹?



「………そう言えば、ちょっと空いたかも。」



昨日から何も食べていない事に今更ながら気が付いた。
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