寵愛の姫 Ⅰ【完】
この目の前の人が現れたかったら、あのまま自分はどうなっていたのか。
考えただけで、ゾッとする。
「お前、もう、帰れ。」
「……え?」
「女の“夜遊び”は、危険だぞ?」
「……はい、」
頭を上げた私は、視線を下に落とす。
甘かった。
この場所は、光輝く綺麗さだけではなく、汚く、危険を孕んでいる事を知っていたのに。
「っっ、」
私は、自分の唇を噛み締める。
油断していたんだ。
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