寵愛の姫 Ⅰ【完】




「…捨てないで…。」



………は?



莉茉の言葉に俺の頭の中が真っ白になった。




「ちょ、ちょっと待て、莉茉。」




…………こんなに動揺したのは生まれて初めてかも知れない。




「……?」




動揺する俺を泣き濡れた莉茉の瞳が見上げる。




「何で俺がお前を捨てる事になるんだよ…?」


「…だって…。」




嗚咽で震える莉茉の言葉を聞き逃さないよう俺は必死に耳を澄ます。
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