寵愛の姫 Ⅰ【完】



「大丈夫だ、莉茉。」




舌打ちしたい気持ちを堪えて莉茉の髪を撫でた。



「溜め息はお前に吐いてんじゃねぇ。」


「……?」


「お前の両親にだ。」



すっぽり俺の腕の中に納まる莉茉の身体がぴくりと反応する。




「両親に…?」


「あぁ。」


「…何で?」




不思議そうに莉茉は涙が残る目を瞬かせた。
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