寵愛の姫 Ⅰ【完】
自分は、大丈夫なんだと。
この光輝く場所は、そんな甘い所では決してないと言うのに。
「……もう、帰ります。」
例え、嫌でも。
このまま、この場所に残りたくはなかった。
息苦しい、“あの家”の方がマシかな?
「ご迷惑を、お掛けしました。」
それでも、みっともなく天秤に掛けてしまう。
私を疎む“あの人達”のいる“あの家”に帰るのと、この場に残るリスクを。
ても、自分の身を守る方が優先だ。
“あの家”が私の居場所ではなかったとしても、帰れる場所は1つだけなのだから。