寵愛の姫 Ⅰ【完】
「……莉茉。」
そんな私に暁は目を細める。
「は、はい?」
「もしかして、“あの家”に帰るつもりだったのか?」
「……。」
含みをもたせた暁の物言いに肩を竦ませた。
「…図星か。」
「……。」
気まずくて視線を逸らす。
「ーーー勘弁してくれ。」
「っ、」
溜め息を吐き出した暁にぴくりと身体を震わせれば、私を持ち上げて自分の膝の上に座らせる。
そのまますっぽりと囲うように優しく抱き締められた。