寵愛の姫 Ⅰ【完】




「……暁?」


「…………。」





私の首筋に暁は顔を埋める。




「暁、どうしたの?」




ーーーまるで私の存在を確かめるかのように…。




「…俺が…。」


「うん?」


「莉茉をあんな家にお前を帰らせる訳がないだろ。」


「…うん。」



こくりと頷く。



うん、分かってる。





……両親の私への接し方を知っている暁だからこそ、こんなにも心配してくれているのだと思うから……。
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