寵愛の姫 Ⅰ【完】



「あぁ、嫌だって言っても帰さねぇぞ。」



身体に回されている暁の腕に力が込められた。



「莉茉。」



優しく暁が私の頬に手を添えて顔を上げさせる。



「俺が帰る場所がお前なら……。」


「…なら?」


「莉茉の帰る場所は俺だけだ。」


「うん!」



私が頷けば、暁が嬉しそうに微笑んだ。
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