寵愛の姫 Ⅰ【完】



「……暁、さんが?」



俺は目を見開く。





女を冷めた目でしか見なかった暁さん。




ずっと俺が尊敬し、その背中を追い続けた人でもある。



…………その暁さんが大事そうに抱えてた“女”だと?



「っ、」



…まさか…




がんがんと鳴り響く警鐘。



暑くもない部屋の中にいるのに、俺の背中に汗が流れ落ちた。



「…その“女”が莉茉だと大輔は言いたいのか?」



嘘、


――だよな、莉茉?
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