寵愛の姫 Ⅰ【完】


「…そうか。」



一瞬、


ほんの少しだけ悲しそうな顔をした暁が私の髪を撫でる。



「行きたい場所もねぇか?」


「…行きたい場所…。」



ぐるりと周囲を見渡す。




昼間でも賑わう繁華街は沢山のお店が出揃っている。


「……あ。」


その中で不意に目に入ったその場所。



「ーーーねぇ、暁」



思わず袖口を掴んで軽く引っ張れば、暁の瞳が私を見下ろした。
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