寵愛の姫 Ⅰ【完】



「どうした?」


「あそこじゃ駄目かな?」


「あそこ?」



私の指差した方に暁の視線が向けられる。



「…ファミレス、か?」


「うん。」



こくこくと頷く。



「莉茉はファミレスが良いのか?」



また私に向けられた暁の顔は不思議そうだった。



「…………だって、一度は行ってみたかったんだもん。」



憧れてたファミレス。




良く茉莉とお母さんが行っていたのを、羨んだのをはっきりと今でも覚えてる。
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