寵愛の姫 Ⅰ【完】
輝くネオン。
人の活気で騒がしい繁華街。
「…………眠らない街。」
ぽつりと呟く。
眠らないこの夜の街の片隅で、今日も何時もの定位置にぼんやり座って、私は人の波を見つめてた。
この煩雑としてる街で、自分と言う存在を 認識している人は、何人いるんだろうか?
「なんて、ね。」
自嘲の笑みが、口元を歪ませる。
いる訳がないのに。
自分の事を、心から本当に求めてくれるような、そんな人なんて。