寵愛の姫 Ⅰ【完】



「うーん。」




唸りながらも、きょろきょろとその目がメニューの間をさ迷う。




そんな莉茉の様子を、頬杖を付いて見つめた。




……飽きねぇなぁ。




ころころと変わる莉茉の表情に、気が付けば俺の顔が緩んでしまう。



何時までも眺めていたくなる。




「…暁はもう決まったの?」



縋るように俺に向けられる莉茉の澄んだ瞳。




「あぁ。」


「…だよね。」



がっくりと項垂れる莉茉に、つい忍び笑いが漏れた。
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