寵愛の姫 Ⅰ【完】



「うん、決めた。」



満足そうな顔で頷く莉茉。





その声ではっと、自分の思考に沈ませていた意識が浮上した。



「ーーー決まったのか?」



何度目かの煙草の火を灰皿で揉み消す。




「うん、グラタンにする。」



嬉しそうに笑う莉茉はメニューを閉じた。



「それだけで良いのか?」


「何が?」



疑問符を浮かべる莉茉。
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