寵愛の姫 Ⅰ【完】



母親に、(ろく)に食事も与えられなかった莉茉。




食が細くなり、物をあまり多くは食べられないのだろう。




……そんな莉茉だからこそ、好きな物を食べさせてやりたい。



「莉茉。」


「うん?」


「どのデザートが食べたいんだ?」


「…これ。」



躊躇いがちに小さな手が指差すのはチョコレートパフェ。



「ーーー分かった。」



頷いた俺は呼び鈴を鳴らした。
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