寵愛の姫 Ⅰ【完】






「……莉茉?」




暁が莉茉ちゃんの視線の先を辿る。




……何だ?





俺も気になってそちらを見れば、莉茉ちゃんの目線の先は、




…………親子連れの客。





子供の胸元には、小さなテディベアを抱えられている。




「……莉茉、欲しいのか?」


「…え?」




肩を抱いて自分の方へと引き寄せた暁に、はっとしたように莉茉ちゃんの顔が向けられた。
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