寵愛の姫 Ⅰ【完】




「あれも買うか?」


「…いらない…。」



罰の悪そうな顔をした莉茉ちゃんが俯く。




我慢する事が当たり前すぎて、欲しいとは彼女の口からは言えないのだろう。




きっと、その心情を暁も気が付いている。



「…そうか。」



その証拠に、




…………そんな莉茉ちゃんの髪を撫でる暁の瞳が俺の方へと向けられたんだから…。
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