寵愛の姫 Ⅰ【完】



「このまま持っていくから君が清算してくれる?」


「っ、」



耳元で囁けば、思惑の通りに真っ赤になる女。



……落ちたな。




もう、俺意外の男には眼中にないだろう。



「…あの、連絡先を…。」


「ごめん、仕事中なんだ。」




ごめんね、



…………君はもう、よう済みなんだよ。



「あっ…。」



名残惜しそうに会計を終えた女の声に背を向け、暁達の方へと歩き出した。
< 316 / 381 >

この作品をシェア

pagetop