寵愛の姫 Ⅰ【完】



「莉茉ちゃん。」


「っ、」



ぴくりと俺の声に跳ねる莉茉ちゃんの肩。



「…大丈夫、大雅だ。」



透かさず宥める暁。



「大雅さん…?」



暁の裾の辺りを掴んだ莉茉ちゃんが恐る恐る俺へと振り返った。



「……あの?」



不思議そうに俺を見上げる莉茉ちゃん。




その顔には、困惑が滲み出ている。



「ーーーはい、どうぞ。」



そんな彼女に、にっこりと笑ってテディベアを差し出した。
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