寵愛の姫 Ⅰ【完】
「……莉茉ちゃん、暁はお揃いのカップを選んで欲しいんだよ。」
笑いを堪える俺に莉茉ちゃんの視線が向けられる。
「そう、何ですか?」
「そうそう、だから選んであげてくれる?」
「分かりました。」
疑うって事を知らない莉茉ちゃんは暁に笑い掛けた。
「行こ、暁。」
「…あぁ。」
それだけで、機嫌を直した暁は頬を緩ませる。
「ーーー全く、暴君さまのご機嫌を直すのは骨が折れる。」
やれやれ、と暁の手を引いて歩き出した莉茉ちゃん達の背中を見送った。