寵愛の姫 Ⅰ【完】




「必要ない?」


「うん、私に友達もいなかったし、誰かに電話を掛ける事もなかったもん。」


「…そうか。」



ぐっと莉茉を抱き締める俺の手に力が入った。



「なら、俺専用の莉茉の携帯を買うぞ。」


「……はい?」



きょとんと俺を見上げる莉茉に笑いが込み上げくる。



「ほら、もう着くぞ。」


「えっ?えぇ!?」




挙動不審な莉茉を促して、ケイタイショップへと歩き出した。
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