寵愛の姫 Ⅰ【完】



震えていた莉茉ちゃん。





叶を見た時の顔は真っ青で、恐怖心で一杯だったじゃねぇか。



「お前を見る度、莉茉ちゃんが怯える。」


「っ、」


ぐっと、叶が反論だろう言葉を詰まらせた。



「なぁ、叶。」

「……。」


「それをお前は望むのか?」


「……いいえ。」



叶が首を横に振る。



「なら、莉茉ちゃんの事はきっぱりと諦めろ。」



半端な覚悟で、暁から彼女を奪える訳がないんだ。
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