寵愛の姫 Ⅰ【完】



「一度だけ、莉茉に会うチャンスを下さい。」


「……。」



必死な叶の姿にも俺は眉1つ動かさない。



「それを決めるのは、俺ではなく莉茉さまだ。」


「……、」


「お前は俺の大切な“後輩”ではあるが…。」



俺は目を細める。



「何でも願いを叶えてやるつもりはない。」


俺が全ての願いを叶える方は、主である暁だけ。



そして、今はもう1人。




…………寵妃たる莉茉ちゃんだけだ。
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