寵愛の姫 Ⅰ【完】



「……暁、もう下りるね。」




暁の膝の上から下りようとすれば、がっちりと腰を引き寄せられる。





「……暁?」




驚いて見上げれば、不機嫌な暁の顔。




「まだ良いだろ?」


「…うん。」




照れくさいけど、暁に抱き締められるのは好きだからこくりと頷いていた。



「…目が赤いな。」



顔を顰める暁。




「……ん、」


「擦るな。」




目元を擦れば、暁の手に止められた。
< 355 / 381 >

この作品をシェア

pagetop